【Dr.インクの星空キネマ】西野亮廣の処女作!天才爆発で大人も楽しめると話題作!
西野亮廣さんの大ヒット中の絵本えんとつ町のプペル展inみなとみらいを開催するとおるです。
そんな僕が西野亮廣さん絵本完全解説します。
▽二作目Zip&Candyについて
【Zip&Candy】ジップ&キャンディのあらすじから裏話まで。読んだらもっと楽しくなる。 - ととの青春
西野亮廣の絵本は全て繋がっている。
僕が思う西野さんの絵本の一番面白いところ。全ての物語が繋がっているところ。伏線がたくさんはってあるところ。話が繋がっている理由は、、。
《西野さんは25歳のときにすべての物語を書き終えている》
西野さんは、実はその都度絵本の物語を考えているのではなく、25歳のときに一生分の物語を書き終えている。
その理由は、西野さんが、宮崎駿さんなどの名監督の作品の中で、若い頃の作品が好きなこと。年を重ねると、若い頃のような作品が作れなくなるので、25歳の頃に物語を全て書き終えたそう。だから、、。
《全ての物語が繋がっている》
全ての物語を同じタイミングで書いたからこそ出来ること。全ての物語が繋がっている。西野さんの絵本は、一冊一冊物語が始まり終わるのではなく、すべてが繋がってる壮大な物語。
数十年後その全体像が見えたとき、本当にワクワクするのだと思う。
ちなみに、2017年までに出ている4冊の絵本でも、繋がりがみえる。(詳しくは後述あり)
《絵本の共通点》
①ボールペン一本で書いている。
西野さんはボールペン一本で全ての絵を描いている。使っているボールペンはCOPIC MULTI LINERの0.03ミリ(超極細)を使っている。4作目のえんとつ町のプペルは作成の仕方を変えた。(後述あり)
②共通のキャラクター“マルタ・サンポーニャが登場している。
マルタサンポーニャとは、一作目の『Dr.インクの星空キネマ』のDr.インクのアシスタントとして、キープレイヤーとなっている。オルゴールワールドでは、屋根に座ってオルゴールの音を聞いている。えんとつ町のプペルで、心臓を落としている。このマルタ・サンポーニャがこれからの絵本にも出てきて、何かキーを握っているのか?
③ハッピーエンドで終わる。
どの物語も必ずハッピーエンドで終わる。これは作者西野亮廣氏のこだわり。『ハッピーエンドにしか興味がない』とのこと。しかし、『Dr.インクの星空キネマ』の物語の中にハッピーエンドで終わっていないものが。それはどういうことなのか。(後述あり)
④曲がある。
すべての絵本にではないが、二作目のZip&Candyと四作目のえんとつ町のプペルにはテーマ曲がある。
また、Dr.インクの星空キネマの中のグッド『モーニングジョー』と絵本には出てこない雨の星『グリンゴ』は、西野さんのバンド『ザ人生バンザイズ』が歌を歌っている。
(曲のYouTubeのURLは後述あり)
《映画えんとつ町のプペル》
2~3年後に公開予定の映画『えんとつ町のプペル』。この映画で、えんとつ町のプペルの全体像が見えるらしい。絵本『えんとつ町のプペル』は、すべての物語の5分の1物語らしい。
このあいだ『西野亮廣制作物発表会』というイベントで導入部分を話してくれた。“なぜ、えんとつ町が出来たのか”それだけでも、圧巻の話だった。(まだネタバレなので話せません。ゴメンナサイ。)
ここから、すべての絵本を徹底解説。
一作目のDr.インクの星空キネマから、最新作えんとつ町のプペルまで、読み込んだ僕が徹底解説。各絵本に隠された秘密まで知ることが出来る!、、、かも!どう物語同士が繋がっているのかお楽しみに!
▽絵本は四冊
- Dr.インクの星空キネマ
- Zip&Candy
- オルゴールワールド
- えんとつ町のプペル
第一作目【Dr.インクの星空キネマ】
タモリさん、松本零士さん絶賛の西野さんの処女作。この絵本は、短編集となっているが、すべての物語が繋がっている。その繋げ方がスゴい。それぞれの物語を解説します。
作成動画
【目次】
- グッドモーニング・ジョー
- 赤いハシゴ
- ドンドコ山のバケモノ
- Dr.インク
- あとがき
【1.グッドモーニング・ジョー】
《登場人物・場所・物》
- グッドモーニング・ジョー
- ケンヂ
- ある丘の天文台
- 望遠鏡
- たくさんの星
《あらすじ》
※ネタバレ注意
※一部省略
その丘の上には古い天文台がありそこには銀歯のおじいさんが住んでいました。
銀歯のおじいさんは、一日中星ばかり見ては笑い、そして笑うと銀歯が光りました。
街の人たちはそんな銀歯のおじいさんを気味悪がり、誰も天文台に近づこうとしませんでした。
その街に住むケンヂという少年は、街の人たちが止めるのを聞かず天文台に入ってしまいました。
おじいさんはずーっと望遠鏡を覗いています。『おじいさんは一体何を見ているの?』ケンヂは言いました。
『星だよ』おじいさんは答えました。そして、それ以上しゃべろうとともしませんでした。
『おじいさん、飽きないの?』ケンヂが聞くと、『飽きないね』おじいさんは相変わらず無愛想です。気を悪くしたケンヂが帰ろうとしたそのときです。
『見ているだけじゃないよ、星で遊んでいるんだよ』
ケンヂはおじいさんの言葉を聞いて、不思議に思いました。
『青い星を見ていてごらん』
ケンヂが意味も分からず、青い星をみた瞬間、
ピューッ。青い星が流れました。ケンヂはビックリしました。
『今度は赤い星を見ていてごらん』
ピューッ。今度は赤い星が流れました。ケンヂはビックリしました。
『これは特別な望遠鏡なんだ。この望遠鏡でに映った星は手でつかめるんだよ』
ケンヂはその不思議な望遠鏡に釘付けになり、目を輝かせて言いました。
『おじいさん、おじいさん。星を動かせるの?』
『それぐらい、この望遠鏡を使えば簡単さ』
『おじいさんは何者なの?』
『名はグッドモーニング・ジョー。星空コーディネーターさ』グッドモーニング・ジョーの銀歯がキラリと光りました。
ケンヂは興奮していろんな質問をグッドモーニング・ジョーにしました。
『ジョーは星に色をぬれるの?』
『簡単さ。三日月みたけりゃ、満月を少しぬればいいのさ』
『ジョーの夢はなんなの?』
『さわるだけじゃなくて、いつか月に行ってみたいんだよ』
『じゃあ、いつか僕がロケットを作ってジョーを月に連れてってあげるよ』
グッドモーニング・ジョーの銀歯がキラリと光りました。
それからというものケンヂは毎日グッドモーニング・ジョーのもとを訪ねました。
ある日、グッドモーニング・ジョーは星をゆっくり動かしていました。こんなにゆっくり流れる『流れ星』を見るのは生まれて初めてです。
『へぇーそんなことも出来るんだね。これだとお願いごとしやすいね』
ケンヂはニコニコ、グッドモーニング・ジョーの銀歯がキラリ。
でも、そんな楽しい日々も長くは続きませんでした。
ある日のこと、いつものようにケンヂが天文台に行くと、望遠鏡を覗いているグッドモーニング・ジョーの姿が見当たりません。
聞くと、グッドモーニング・ジョーは昨日の晩に倒れて病院に運ばれ、息を引き取ったということです。
ケンヂは泣きました。グッドモーニング・ジョーをロケットで月まで連れて行くという約束をはたせぬままになってしまいました。
つづく。
西野さんの物語は、ハッピーエンドで終わります。素敵なエンディングはぜひ、絵本でご確認ください。
《グッドモーニング・ジョー 歌 THE人生バンザイズ》
《グッドモーニング・ジョーが動かした星のすべてに意味が》
実はこのグッドモーニング・ジョーが全ての物語に関わっているとは。絵本は色黒だけど、色がキーワードに。色を気にしながら読むと楽しさがまた楽しみが増える。
あのときジョーが、何色の星を動かしたのか?要チェックです。次の物語をどうぞ。
【2.赤いハシゴ】
《登場人物・場所・物》
- トキオ・ジョイコブ(主人公)
- 赤いハシゴ
- 宇宙を飛び回っているネコ
- ミル・フイルという小さい星
- 青い星
《あらすじ》
※ネタバレ注意
※一部省略あり
この広い宇宙のあるところに、『ミル・フイル』という名の小さい星がありました。
人口の増加に対して、星自体はとても小さく、土地がないものですから、横に広がることをあきらめざるをえなくなった街は、縦に幾重にも重なりながら成長していったので、どこに行くにもハシゴが必要でした。
その星で長年ハシゴ屋をやっている男がいました。男の名はトキオ・ジョイコブ。
トキオには悩みがありました。
トキオの作るハシゴは、赤い色をしてカラフルなので、当時はよく売れたのですが、近頃のリフトの開発により、みんな、移動の楽なリフトを好んで使うようになったので、トキオの赤いハシゴが売れなくなってしまったのです。
そして、トキオは昨日と同じように今日も退屈な一日を過ごしています。
トキオの店には売れ残った赤いハシゴが山積みになっていました。倉を開けるたびにトキオはやりきれない気持ちになります。
星がキラキラ。今夜は夜空がキレイです。トキオが夜空の星を眺めていた、その時です。
ギュゥゥン!
青い星が流れてきて、トキオの目の前の空で止まりました。トキオは目を疑いました。興奮して大声をあげました。青く輝くその星は手を伸ばせば届きそうな距離にありました。
『星が来た!星が来た!』
ミル・フイルに住む人たちは大騒ぎ。
夜が明けると、その青い星のことがトップニュースで流れました。街はお祭り騒ぎ。星クッキーに、星まんじゅう、ホッシーというキャラクターグッズまで出来ました。
みんなはリフトに乗って、街の高いところへ行きました。トキオの赤いハシゴは活躍の場を失っていました。
風の強いある夜、トキオがその青い星を眺めていると、その星から風に乗って、
『ドン・・・ドン・・・』
太鼓の音がかすかに聞こえてきました。
『あの星に人が住んでいる!』
『ドン・・・ドン・・・ドコドン・・・』空耳ではありません。
街の人に話しても、『そんな音は聞こえなかった』『この星以外に人が住んでいる星があるわけがない』ととりあってくれませんでした。
トキオは、その青い星に行ってみたいと思いました。行って確かめたいと思いました。
でも、もちろんトキオは宇宙ロケットなど持っていません。でも、行きたいのです。青い星に行きたいのです。
トキオは悩み、そしてハッとして、倉へ走りました。倉を開け、山積みになっている赤いハシゴたちに言いました。
『さぁ、お前たちの出番だよ』
トキオは赤いハシゴをつなぎ合わせ、あの青い星に赤いハシゴを立てかけることにしました。
すぐさま行動にうつしたトキオは、赤いハシゴと赤いハシゴを縄できつくしばり、くぎを打ち、長いハシゴを作って行きました。
トキオは毎日コツコツ、赤いハシゴをつなげました。いつのまにやら、赤いハシゴは宇宙まで伸びていました。
しかし、宇宙は広いです。ミル・フイルからずいぶん来ましたが、近いと思っていた青い星はまだまだ遠く、赤いハシゴをつないでもつないでもとどきませんでした。
そして、ある時を境に、太鼓の音は鈍くなり、とうとうピタリと聞こえなくなりました。
『あの星までハシゴをかけて、もし誰も住んでなかったらどうしよう』
そう不安に思うようになりました。
トキオは少し疲れました。
つづく。
さて、トキオは青い星に無事たどり着けるのか。着いたとして人は住んでいるのか。赤いハシゴの意味は?続きは絵本で。
《この物語に隠されていること》
- 青い星がピューッと流れてきたのはあの人の仕業?
- 赤いハシゴを繋げると何に見える?
- このあとに出てくる宇宙を走り回るネコの正体は?
- なぜ太鼓は聞こえなくなったのか?
1の答えは、グッドモーニング・ジョーを読むと、2は絵本を読むと、3、4はこの続きを読むと答えが分かります。
では続きをどうぞ。
【3.ドンドコ山のバケモノ】
《登場人物・場所・物》
- ヤク
- 迷子の女の子
- ドンドコ山
- 太鼓
《あらすじ》
※ネタバレ注意
※一部省略
『ドン、ドン、ドコドン!ドン、ドコドン!』
ある星のあるところに、ある村がありました。その村のはずれにはドンドコ山という山がありました。そのドンドコ山には「ヤク」という恐ろしいバケモノが棲んでおりました。
夜空中の星がいっせいに流れた不思議に夜がありました。ちょうどその時からです。
ヤクは、となりの星まで届くのではないかというくらいの大きな音で太鼓をたたくようになりました。
村人はその大きな音にたいへん迷惑していました。
名高いお侍や、腕利きの漁師が、ヤク退治へ出かけましたが、ヤクにペロリと食べられてしまいました。村人は静かな日々を望んでいました。
ある日のこと。ひとりの少女が村へ向かう途中、あやまってドンドコ山へ迷い込んでしまいました。あたりはもうまっ暗です。
『どこへ行くんだ』
ヤクが現れました。ヤクは今にも少女を食らう勢いです。
「村へ行きたいの」
少女はヤクの恐ろしさ姿におびえる様子もなくひょうひょうと答えました。
『村に何しにいくんだ』
ヤクが、低いガラガラ声でたずねると、
「届け物よ」
緑色のきんちゃく袋を首からぶらさげた少女は、またもひょうひょうと答えました。ヤクのことが恐ろしくないのでしょうか?
調子が狂いながらもヤクは、
『では、その届け物とやらをこちらによこしてもらおうか!』と言って、するどい爪を少女の顔にふりかざしました。
「あなたのモノではないわ」
またもひょうひょうと少女は答えました。ヤクは様子がおかしいと思い、少女の後ろにまわりました。
「これは村の人たちのモノよ」
少女は、さっきまでヤクが立っていた場所に向かってしゃべりつづけます。
「ねぇ、オジサン。私迷子になっちゃったの。村まで連れてってくれない?」
ヤクはあっけにとられました。
「日が暮れるまでには村に行きたいの」
あたりはもうまっ暗です。
「早くしないと、村の人たちが眠ってしまうわ、ねぇオジサン!」
ヤクは言いました。
『こ、恐くないのか?』
「何が?」
『いや、その……ワシのことが』
「恐くなんかないよ。人を信じられなくなる方が、もっと恐いよ」
『そ、そうか……いや……その……』
「もういいわ、オジサンが連れてってくれないならひとりで行くわ」
少女は歩き出しましたが、それは村の方向ではありませんでした。
『村はそっちじゃないぞ!』
ヤクは、つい言ってしまいました。
「オジサン、優しいところあるじゃない
」少女はニコッと笑顔で振り返りました。
ヤクは生まれて初めて笑顔というものを見ました。生まれつき醜い自分の姿を見る人の目は、いつも冷たかったのですが、笑顔というのは、それと違い、なんだかポカポカしました。
『早く山を下りろ』
ヤクは少女を食らうのをやめることにしました。
「村に行く方法がわからないのよ。オジサン、村まで連れてってよ」
少女はそう言いますが、もちろんヤクは村まで行けるわけがありません。
『オジサンは理由があって、村には行けないんだよ』
「どうしたの?村の人とケンカしちゃったの?」
『まぁそんなところだ』
「オジサン、大丈夫?」
ヤクの体がまたポカポカしました。今までに味わったことのない変な気分です。
ヤクはとりあえず、今もらったポカポカを体から出して、少女に返そうと思いました。と、その瞬間、
『ワシが今から太鼓をたたくから、その音を背中に受けてまっすぐ歩くんだ。そうすれば村にたどりつける』
ヤクの口から自然と言葉が出てきました。
「ありがとうオジサン。でも私が村に着くまでずっと太鼓たたいててよ。途中でまた迷子になるの私イヤだからね、約束よ」
『あぁ、約束する』
ヤクは人間とこんな長い時間話をするのははじめてでした。そして
『さぁ早く行け!』
「じゃあね、オジサン。また会おうね」
『またな』
『ドン、ドン、ドコドン!ドン、ドコドン!』ヤクは太鼓をたたき始め、少女はその音を背中に受けて村へ向かい、まっすぐ歩いていきました。
『ドン、ドン、ドコドン!ドン、ドコドン!』
ヤクの場所からは、もう少女な姿が見えなくなりました。太鼓の音のおかげで、少女は確実に村へと向かって行きました。
『ドン、ドン、ドコドン……』その時です。
『バンッッ!!』
ヤクの太鼓がやぶれてしまいました。これでは音を鳴らすことが出来ません。少女の足も暗い山の途中で止まってしまいました。
少女は不安に襲われました。ヤクは、急いで太鼓のやぶれていない方をたたいてみましたが、「パン……パン……」
こんな乾いた音では少女の場所まで届きません。ヤクは少女のことが心配になりました。
“私が村に着くまでずっと太鼓をたたいてよ……”
“あぁ、約束する”
ヤクには少女との約束がありました。ヤクは、少女からもらったポカポカを返そうと思いました。
次の瞬間、
つづく。
この物語は、絵本では悲しい結末で終わります。西野さんは、すべてハッピーエンドで終わるはずでは…?ぜひ、絵本を読んでこの続きをご覧ください。
《この物語に隠されていること》
- ヤクはなぜ太鼓を叩くのか?
- 少女の正体は?
- 少女は、何を村に運ぼうとしていたなか?
- 少女が持っていたきんちゃく袋がキチンと『緑』と記された理由は?
- ハッピーエンドで終わる続きがある?
2、3は最後のDr.インクを読むと、1、4、5はなんと過去の西野さんのブログを読むと答えが分かります。
僕はこのブログで物語の続きを読んで、さらにこの物語が好きになりました。
▽ヤクとヤヨイの千年物語
ヤクとヤヨイの千年物語 - Zip&Candyの日々 - Yahoo!ブログ
《グリンゴという曲が泣ける》
このグリンゴというのは、上のヤクとヤヨイの千年物語に出てくる雨の星。その内容を知った上で聞くと泣けます。
次の物語で全てが繋がります。Dr.インクの星空キネマの最終話。
【4.Dr.インク】
《登場人物・場所・物》
- Dr.インク
- マルタ・サンポーニャ
- 迷子
- 流れ星
- グッドモーニング・ジョー
- 赤いハシゴを繋げる男
《あらすじ》
眠ると夢が始まります。自分の意思とは関係なく、夢の中のお話は進みます。
では、その夢のお話は、いったい誰が作っているのでしょう。
世界の奥の奥のそのまた奥。世界中のどの脚本家よりも忙しい、『Dr.インク』という脚本家がいました。
Dr.インクは、世界中の人々が毎晩みる夢の脚本を書いています。世界中の人々の脚本となると、それはそれはスゴイ数です。
脚本が間に合わない日もあります。脚本が間に合わなかった人は、その夜夢を見ることはできません。Dr.インクも忙しいので、これは仕方がないことなのです。
Dr.インクには『マルタ・サンポーニャ』という、たくさんの脚本家がいました。
サンポーニャたちは、Dr.インクが書き上げた夢の脚本を、専用の機械に通してアメ玉に詰めます。そして、脚本を詰めたアメ玉を緑色のきんちゃく袋に入れて、世界中、宇宙中を飛び回り、眠りに入った人々の口へ、アメ玉を放り込むことがサンポーニャの仕事です。
サンポーニャはあまり目がよくありません。その代わり耳がいいので、配達の時間になると耳を立て、「おやすみなさい」が聞こえた方向に走ります。
そして、たまに迷子になることもあります。
Dr.インクの脚本が間に合っても、サンポーニャの配達の道中で迷子になってしまっては元も子もありません。サンポーニャはサンポーニャで大変です。
ある日こと。Dr.インクは体を壊してしまい、寝込んでしまいました。夢の脚本を書くこともできず、作業はストップしてしまいました。同時に世界中の人々は夢を見ることができなくなりました。
世界は夢のない世界になりました。特に犯罪が増えたわけでも、とくに、人々が暗くなったわけでもありませんでした。
ただなんだか寂しくなりました。
あって当たり前のものが無くなると寂しくなるものです。
Dr.インクに元気になってもらうしかありません。しかし、薬も効かず、寝込んだままです。
Dr.インクが早く元気になってくれるようサンポーニャたちは祈りましたが、回復の兆しはみられません。ひとりのサンポーニャが言いました。
「流れ星に3回お願いしたら、願いがかなうって聞いたことがある」
さっそくその夜、「Dr.インクが目を覚ますように流れ星にお願いしよう」と、サンポーニャたちは屋根に上り、流れ星を待ちました。
ピューゥ。
流れ星が流れました。
「Dr.インクが元気になりますように。Dr.インクが元気になりますように」
とても間に合いません。
その夜、何度か流れ星は流れ、その都度お願いごとをしてみましたが、とてもじゃないけど、3回もお願いごとを言えません。
「もう少しゆっくり流れ星が流れてくれればいいのにな」
サンポーニャたちはそう思いました。
そのときです。
「あ!」
ひとりのサンポーニャが立ち上がりました。
「そういえばアメの配達先に流れ星を操れる人がいたよ!」
「本当にそんな人がいるの?」
「本当さ、星を動かしているところもこの目で見た」
「いったい誰?」
「名はグッドモーニング・ジョー。星空コーディネーターさ」
話はまとまりました。そしてサンポーニャたちは決意を固めました。
寝込んでいるDr.インクと、夢を待つ世界中の人々のために。
ひとりのサンポーニャが、グッドモーニング・ジョーの住んでいる星へ走りました。
つづく。
無事サンポーニャは、グッドモーニング・ジョーの元へたどり着けるか?その最中に会う人物とは?そして、すべてを繋げる結末とは?絵本をどうぞ。
《この物語で隠されてること》
- マルタ・サンポーニャは、Dr.インクのアシスタントだった。
- Dr.インクは、夢の脚本家。
- マルタ・サンポーニャは迷子になりやすいので、ドンドコ山でも迷子になっていた。
- 流れ星をゆっくり流したのはマルタ・サンポーニャのお願いのため。
- グッドモーニング・ジョーの元に向かう最中、青い星を目指してるトキオに出会う。
答え合わせ
完全ネタバレになるのでこれは全てを読んでから見たほうが楽しいと思う!
1.グッドモーニング・ジョーの動かした星の結末まとめ!
《青い星》
『ピューッと青い星が流れました』と青い星を最初に流したグッドモーニング・ジョー。
青い星を流れたのにビックリしたのは、トキオ・ジョイコブも住むミル・フイルの住民。
ミル・フイルの近くに青い星がやってきて、トキオは太鼓の音が聞こえる青い星へ赤いハシゴを繋げることを始めた。
またその青い星には、ヤクがいる。
《赤い星》
赤い星もピューッ。青い星の次に赤い星を流したグッドモーニング・ジョー。
それは緑の星となったヤヨイにまた会いたいという願いで赤い星となったヤクを、再び出会わせてあげるためだった。近づけるお願いをグッドモーニング・ジョーにしたのは、ヤクお母さんだった。
《ゆっくり流れる流れ星》
ある日、グッドモーニング・ジョーは、星をゆっくり動きしていました。
それは、倒れてしまったDr.インクを元気にさせるために、マルタ・サンポーニャが流れ星に三回お願いするために、ゆっくり流れ星を流してとお願いしたからだった。
2.マルタ・サンポーニャが出現した場所まとめ
マルタ・サンポーニャは、Dr.インクのアシスタント。夢の脚本を詰めたアメ玉を持って宇宙中を走り回っているため色んなところへ登場する。また、目が良くないため迷子になりやすい。
《ドンドコ山で迷子》
青い星のドンドコ山で迷子になり、ヤクに助けてもらう。
《赤いハシゴをつなげてるトキオに出会う》
赤いハシゴをつなげていたトキオの前にサンポーニャは現れた。お互いの姿に元気をもらっていた。
《グッドモーニング・ジョーのところへ》
グッドモーニング・ジョーに流れ星をゆっくり流してくれるようにお願いしに行った。
3.トキオが聞いた太鼓の音はヤクが叩いていた。
トキオが赤いハシゴをつなぎ、青い星へ向かおうと思った理由は、青い星から太鼓の音が聞こえたこと。それは、ヤクが星になったヤヨイに向かって叩いていた太鼓の音。
途中で太鼓の音が鈍くなり、聞こえなくなったのは、太鼓が壊れ、ヤクが岩山に頭をぶつけ、死んでしまったから。
4.トキオがつなげたハシゴは東京タワーに。
赤いハシゴを繋げ、青い星にたどり着いたトキオ。青い星の人は赤いハシゴを気に入り、その周りにビルを立てて行きました。
あとがき
布団にもぐり目を閉じると夢が始まります。楽しい夢、追いかけられる夢ヘラクレスオオカブトを捕まえる夢……毎晩種類の夢を見ます。
中略
毎晩毎晩これだけの種類の物語を書ける能力子供の自分にあるとは到底思えなかったのです。そして思いました。
『誰かが考えてくれてるんや』
中略
『東京タワーはどうやって作ったんやろか?』
上から作ったのです。
『流れ星はなんで流れるのやろか?』
星空コーディネーターが動かしているのです。
この絵本は子供の頃のボクへのアンサーブックとでもいいましょうか。
中略
子供に質問された時に、素敵な作り話を添えて答えてあげられる大人でありたいと思います。最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。
それではおやすみなさい。
にしのあきひろ
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▽二作目
【Zip&Candy】ジップ&キャンディのあらすじから裏話まで。読んだらもっと楽しくなる。 - ととの青春
えんとつ町のプペル展やります
えんとつ町のプペル展を神奈川県みなとみらいにて開催します。
4作目の30万部突破の絵本『えんとつ町のプペル』が光る絵となり、みなとみらいにやってきます。詳細はコチラ。
えんとつ町のプペル展inみなとみらい
◆2017.10.5(thu.)~2017.10.16(mon.)
◆11:00~19:00(最終入場 18:30)
◆会場:緑のギャラリー
〒220-0012 横浜市西区みなとみらい2-2-1 グランモール公園クロス・パティオ
みなとみらい駅すぐ。
入場無料