【暇つぶしのための妄想小説】ドラえもん編 僕はチビのび太じゃない!
小説書きたいって思ったことありませんか?
僕は携帯小説が流行った頃が高校生で、小説書きたいとめっちゃ思ってました。
ということで、小説書いてみました。
10分程度で読める長さです。
電車などの暇つぶしに。
もくじ
- 僕の名は、、。
- 四年生の僕は。
- のび太兄ちゃんとの関係。
- のび太兄ちゃんのそばに青い奴が。
- ドラえもんがいない。
- のび太兄ちゃんのピンチ
- のび太兄ちゃんの変化
- 二十年後、、。
【僕の名は、、、。】
こんにちは。僕の名前は地比ちび太(ちびちびた)。
今30歳で、塾を経営している。小さいときは、勉強苦手だったけど、少し頑張って今は小、中学生、高校生に数学、英語を中心に教えている。
身長は、、言いたくないな、、。ずっと『チビチビ』と馬鹿にされてきたから。
これを読んでくれてるあなたはどんな人なのだろう。背は高いかな?
今日は、僕が小学四年生のときの思い出を話そうと思う。ダメダメだった僕が変わった瞬間のお話。
少し時間があるならお付き合ってくれたら嬉しいです。
【四年生の僕は、、】
4年生のときも背は小さいかった。
5年生のスネ夫というトンガリ頭のお兄ちゃんと並んで立っても、僕のほうが小さいかった。
一年生のときから目が悪くなって、ずっと眼鏡を掛けてた。髪型は、前髪はまっすぐ揃ってて、全体的に短め。一年中短パンを履いてた。だって、母さんが短パンしか買ってこなかったから。寒くてもいつも短パン。でも動きやすかったからそれは別によかった。
でも、母さんに絶対買ってこないでって頼んである服があった。それは、、、黄色いポロシャツ。
なんでって??
だって、僕のあだ名はずっと、、『チビのび太』だったんだ。
五年生にいる“野比のび太”って兄ちゃんにとても似ていたから。眼鏡掛けてて、髪型も似てた。運動が苦手なところも、勉強が苦手なところも。
正直、似てるって言われるのイヤだった。
だって、のび太兄ちゃんは、いつもジャイアンて呼ばれる兄ちゃんとスネ夫にバカにされてたから。カッコ悪かった。
少しでも似ないように、のび太兄ちゃんがいつも着てる黄色いポロシャツは着ないようにしていたんだ。
【のび太兄ちゃんとの関係】
のび太兄ちゃんのことは最初大好きだった。
家が近いから、子ども会が一緒だった。バーベキューしたり、花火したり。
のび太兄ちゃんも、僕が自分に似ていたからか弟のように可愛がってくれた。とても優しい兄ちゃんだった。
あやとり教えてくれたし、射的なんて外したところ見たことない。あれはカッコ良かったなぁ。
ピーナッツを投げて食べるのも得意だったな。10個連続で投げて成功させてた。天才だ。ただ、今思うと何も役には立たないけど、、。
子ども会で僕が友達に、『チビチビ』ってバカにされても、いつものび太兄ちゃんが助けてくれた。『ぼくの弟をイジメるなー!』って。僕にはお兄ちゃんいないかったから、のび太兄ちゃんが本当のお兄ちゃんだったいいなってずっと思ってた。『兄ちゃん兄ちゃん』っていっつもくっついてた。
でも、学年が上がっていくとのび太兄ちゃんは少し変わった。ジャイアンとスネ夫にいつもバカにされるようになったんだ。
するとのび太兄ちゃんは、僕にあまり関わらなくなっていった。当時は『のび太兄ちゃんなんで?』って悲しくなったけど、今は分かる。バカにされてるのを見られたくなかったんだな。弟みたいに思っていた僕にカッコ悪いところを見せたくなかったんだ。
そんなのび太兄ちゃんの気持ちは、小さかった僕には分からなかった。“のび太兄ちゃんカッコ悪い”。これだけが僕の頭に残った。
少しずつ少しずつ
のび太兄ちゃんと僕との距離は離れていったんだ。
【のび太兄ちゃんのそばに謎の青いやつが、、】
僕が四年生で、のび太兄ちゃんが五年生になったとき、のび太兄ちゃんの噂はますます悪くなった。
テストは0点ばかりって噂。運動も苦手。
他にも、しずかちゃんていうめちゃくちゃ可愛かったお姉ちゃん家からたまに、『のび太さんのえっち!』って聞こえてきた。なにやってんだのび太兄ちゃん、、。僕はますますのび太兄ちゃんのことが嫌いになっていった。
道端でたまにのび太兄ちゃんを見かけると、
相変わらずジャイアンとスネ夫にバカにされていた。でも少しだけ変わったことがあった。
今までは泣きながら無言で家まで走って帰っていたが、ある日から『ドラえもーん!』と叫びがら泣き帰るようになった。
『ドラ、、えもん??』僕は頭の上に?がたくさん浮かんだ。
そしてその時期から、のび太兄ちゃんの横に青い変な奴がいつも横にいるようになった。頭がまん丸で二頭身、鼻は赤くて、ひげがある。タヌキのようだけど、首にスズをつけている。地面をスベるように歩いていている変な奴。
それがたぶん『ドラえもん』なのだろう。
のび太兄ちゃんとドラえもんはいつも仲が良さそうだった。いつも一緒にいて、一緒に笑って、一緒に泣いて、ケンカもして。
驚いたのは、たまに2人は空を飛んでいたのだ。今の時代まだ、人間が空を飛ぶ技術はないはずなのに。のび太兄ちゃんとドラえもんは確かに飛んでいた。頭に黄色いたけとんぼみたいなやつを付けて。
嘘みたいな話でしょ?信じるか信じないかはあなた次第です、、。
小さかった僕は『そんな奴と仲良くしてるなら僕とまた仲良くしてよ』心の中で思っていた。ドラえもんに嫉妬していた。
【ドラえもんがいない??】
いつも一緒にいたのび太兄ちゃんとドラえもん。 それがある日、のび太兄ちゃんは1人で歩いていた。 『あ、のび太兄ちゃんだ』僕はなぜか身を隠す。のび太兄ちゃんに会うのが気まずいのだ。
のび太兄ちゃんは、いつものように黄色いポロシャツに短パン姿。そして、手に何か物を持っていた。
僕は『なんで1人なんだろ?ドラえもんとケンカしたのかな?』と考えつつ、『どうせジャイアンとスネ夫にイジメられたらいつも通り、ドラえも~んって呼ぶんだろうな』とのび太兄ちゃんを心のどっかで馬鹿にしていた。
なぜかその日は、のび太兄ちゃんのことか気になった。心の奥がソワソワした。
僕は、のび太兄ちゃんの後ろをこっそり付いていくことにした。
『いつドラえもんを呼ぶかな。確認しよう』
いつものドカンがある空き地へ行くのび太兄ちゃん。電信柱に隠れながら付いていくぼく。空き地に着くと、そこにはやはりジャイアンとスネ夫がいた。
2人を見つけたのび太兄ちゃんが2人のところへ駆け寄り、意気揚々と話出す。僕は壁に隠れて話を聞く。
『ねぇねぇ。僕は今日絶対にドラえもんを呼ばないんだ。ドラえもんに休日をあげるんだ』
(え?ドラえもんに休日?)
僕は詳しく聞こうと少しだけ身体が前のめりになる。
のび太兄ちゃんは手にあるブザーを見せながら、
『ドラえもんは、“何かあったらすぐにこのブザー鳴らして。すぐにやってくるから”と言ってたけど絶対に僕は使わないんだ!』
と、自信満々の顔で言っていた。
(ホントかな?すぐに呼びそう、、。)
僕はすぐにそんなことを思った。
このときの僕はとことんのび太兄ちゃんを信用してなかった。
ジャイアンとスネ夫も同じことを思ってたのか、のび太兄ちゃんの話を聞いて大笑い。ガハハと笑いながらジャイアンはこう言った。
『のび太のくせに何言ってるんだ!無理に決まってるだろ!』
続けてスネ夫も。
『すぐにブザーを使うに決まってる!』
2人はいつものようにのび太兄ちゃんをバカにした。するとのび太兄ちゃんは、、
『絶対に使わない!ドラえもんに休日をあげるんだ!』と大きい声で叫び、トコトコとひとりで歩き出してしまった。
僕はのび太兄ちゃんに付いていこうとした。そのとき、空き地のジャイアンとスネ夫の会話が聞こえたので立ち止まった。
『のび太のくせに生意気な。なぁスネ夫。あのブザー使わせてやろうぜ』
『いいねぇ!面白そう!』
2人はニヤニヤ笑って、のび太兄ちゃんのあとを追った。
『うわぁ、、どうなるんだろ、、』
僕も2人の後ろをこっそり付いていった。
【のび太兄ちゃんのピンチ!】
ジャイアンは、のび太兄ちゃんを見つけるといきなりケンカを仕掛けた。一番ドラえもんを呼ばせる手っ取り早い手段だ。これで、何度泣きながらドラえもんを呼んでいるのを見たか、、、。
ジャイアンが
『よし!俺はお前を殴る!』
と、何とも理不尽なことを言い、のび太兄ちゃんを殴ろうした。
のび太兄ちゃんは、ドタドタと慌てて逃げ出した!
すると、今度は野良犬がのび太兄ちゃんを追いかけにきた!
壁に隠れてスネ夫が笑ってた。多分野良犬はスネ夫が仕掛けたんだろう。なんとも、ズル賢いやつ。
のび太兄ちゃんは必死に逃げた。
逃げてる途中に木を見つけて、慌てて登った。僕は、『木を登る運動神経はあるのか!』と少しのび太兄ちゃんに感心した。
そして、屋根に登って逃げるのび太兄ちゃん。『屋根に登る勇気あるんだ!』と、またまた感心した。
でも、やはりそこはのび太兄ちゃん。バランスを崩し、転んでしまった!僕はつい『危ない!』と叫んだ。だって屋根から落ちたらめっちゃ大変やん!そんな大声も虚しく、のび太兄ちゃんはコロコロっと二回ほど転がって屋根から落ちた!
“ドサッ!”
落ちたところは荷台に大量の砂を載せていたトラックの上。そのまま屋根から落ちていたら、大怪我どころか、命も危なかった。それが、砂を載せたトラックに落ちるなんて。しかも、走っているトラックに。奇跡でしかない。
しかし、まだまだのび太兄ちゃんのピンチは続く。もちろん走っているトラックに落ちたのだから、のび太兄ちゃんはトラックに運ばれていく。
それを見てさすがに、ジャイアンもスネ夫も焦ったのか、全力でトラックを追いかけながら大声で、『ブザーを鳴らせ!!』と叫んだ。
トラックの上ののび太兄ちゃんもさすがに怖そうにしていて、ブザーに手をかけた。
『あ!ついにブザー使う!』。
僕は、トラックを一緒に追いかけて、のび太兄ちゃんがブザーを使うのか見守った。
でも、のび太兄ちゃんは使わなかった。
トラックの荷台乗って、もうスピードで走られたら怖いはずなのに、、、。のび太兄ちゃんはドラえもんを呼ばなかった。
すると、トラックは赤信号で止まり、その間にのび太兄ちゃんはトラックから降りた。
僕は『のび太兄ちゃんすげー、、』とトラックから降りるのび太兄ちゃんを見ながら感心していた。
【のび太兄ちゃんの変化】
のび太兄ちゃんは家に向かってトボトボと歩き始めた。おそらく、もう家でのんびりしてようと思ったのだろう。
僕もそれが正解だと思う。ていうか、なんでのび太兄ちゃんは外に出てきたのだろう。家でのんびりしてれば、ドラえもんものんびり出来るだろうに。のび太兄ちゃんだからしょうがないか。
これから家に帰るのだから、もうブザーを使うことはないだろう。
僕はなんでかホッとした。のび太兄ちゃんのカッコ悪いところを見なくて済むからだ。
こっそり付いてきたのも、ブザーを使わないでほしいという気持ちがあったのだろう。
僕も付いていきながら家に帰ることにした。のび太兄ちゃんから10メートルほど距離を置いて歩いていた。
のび太兄ちゃんの背中は少し寂しそうだった。何やってもドジを踏む自分の不甲斐なさにヘコんでいるようだ。
そんな背中をみて僕も少し気分が落ち込んだ。
2人してポケットに手を入れて、うつむきながらトボトボ歩いていると、前から『おい!』という声が聞こえた。
僕はふと顔を上げると、のび太兄ちゃんが隣町のガキ大将に絡まれていた。
のび太兄ちゃんは下を向きながら歩いていたから、ガキ大将にぶつかってしまったようだ。
『なんて運がないんだ、、。』
僕は本当にガッカリしてしまった。
『もうダメだ。ドラえもんを呼ぶしかないな』僕は泣きそうになった。
ぼくは、『のび太兄ちゃんは、もう昔ののび太兄ちゃんじゃないだ。のび太兄ちゃんと仲良くするのはもう諦めよう』
ガキ大将と対峙するのび太兄ちゃんを見て、そんなことを考えていた。
しかしそのとき、のび太兄ちゃんが動いた。
『ちょっと待って』とガキ大将に伝えたあと
手に持っていたブザーを地面へ叩きつけ、何度もふんずけて壊したのである!
『のび太兄ちゃん、、!?』
ブザーは壊れた。もうドラえもんは呼べない。
そして、ドスンとあぐらをかいて座り、腕を組み、ガキ大将に対して
『さぁ!やるならやれ!!』と怒鳴った。
僕は目を丸くした。そして、自然と呟いていた。
『、、、のび太兄ちゃんかっこいい。』
僕ののび太兄ちゃんを見る目は一瞬にして変わった。あれは昔憧れてたのび太兄ちゃんだ。
殴られのは怖いだろう。本当はドラえもん呼びたかっただろう。泣きたいだろう。
でも全部我慢して、のび太兄ちゃんは受け入れた。絶対に『ドラえもんに休日を』という想いで。
『それじゃぁ、、、』と、ガキ大将がのび太兄ちゃんを殴ろうとしたそのとき、
『のび太力を貸すぜ、、』
と後ろから声が。
なんとジャイアンが腕まくりをしながら歩いてきた。その後ろにいるスネ夫も、ビビりながらも戦闘態勢だ。
僕は涙が止まらなかった。
のび太兄ちゃんの頑張りが、ジャイアンやスネ夫の心を動かした。そして、僕の心も、、。
【二十年後、、】
僕は塾講師になった。
僕のような勉強苦手な子どもたちに、『頑張ることで周りの人間を変えることが出来る』ことを伝えたいから、一生懸命勉強して塾講師になった。
僕は小学生の間、結局あだ名はずっと『チビのび太』だった。
でも『あの日』以来、チビのび太というあだ名が大好きになった。
のび太兄ちゃんのようなカッコいい人になろうと思ったから。
絶対着なかった黄色のワイシャツも、あの日から毎日のように着た。
のび太兄ちゃんとも再び沢山遊んだ。
だけれどのび太兄ちゃんとは、小学校卒業してからは関わることがなくなった。
今のび太兄ちゃんは何してるのかはわからない。
少し前に聞いた噂は、のび太兄ちゃんは超一流大学に入り、ロボットを作ろうとしているとか。
それは、小学校の途中からドラえもんを見掛けなくなったことが関係してるのかな。
噂だから本当のことは分からない。
でもこれだけは真実として残ってる。
僕はのび太兄ちゃんのおかげで、変わることが出来たんだ。
『突き抜けて頑張ると周りの人を変えることが出来る』
のび太兄ちゃんから学んだこれを、いつも塾の生徒たちに教えている。
僕も、のび太兄ちゃんのように周りを変える人になりたい。
これからも『あの日』のことを伝えていく。
おしまい。